散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ゴシカ

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理性的な人間であるほど、可能性としての超常現象に寛容なはずである。
不可知の領域を科学で埋めていくほど、世界は広がり、さらなる謎は深まる。
知を有するほどに無知を自覚する。

脳の誤作動による幻覚や、光の屈折による錯覚だと説明可能な既知の領域に対してさえ、今、その瞬間、自分自身で知覚したものの何を断定でき得る術があるか。
記憶など瞬時に捏造され、大部分が無意識下にコントロールされる肉体の保有者に、何を保証できると言うのか。
ゲシュタルト崩壊する世界に、未知なる“扉”も開かれ得る。

カニズムを理解したところで、存在の耐えられない不確かさは変わらない。


☆3.3

(2017/09/19)