散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

家族の肖像

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暗闇に明かりは灯り、静寂は音楽に変わる。

絵画のようにきめ細やかで重厚な色彩の上で、物音、言葉、旋律が奔放に、巧妙に響き合う。闖入者たちを追っては擦れ違いながら見つめるカメラとの有機的な繋がりは、優美かつスリリングで官能的なほど。
これぞ名画のテクスチャー。映画のイリュージョン。
誘われる変性意識にしばしの夢を見る。

走馬灯の火が消えた頃には、“深遠で無感覚で音のない”孤独な部屋で再び眠りにつく。


☆4.1

(2017/09/21)