散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

エンパイア レコード

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「ラジオ・スターの悲劇」
ビデオがラジオスターを殺したよ。

田舎町のレコード屋さんも軒並み大型チェーンに飲み込まれ、どこもかしこも同じ宣伝文句に同じ商品が並ぶ。
元バンドマンのオヤジやマニアックなにーちゃん、エキセントリックなねーちゃんの代わりに、お揃いのポロシャツの制服を着た雇われ店長とフツーのアルバイト店員が、マニュアル通りの「いらっしゃいませ」。
“今朝の一曲”なんてのもなければ、にわかに店内がダンスフロアへ変貌することもなく。試聴室に転がる愛もない。
モラトリアムの安全地帯。迷い犬たちの避難所が失われてしまう。

ティーンエイジャー・イン・トラブル。
コロコロ、無造作に切られては繋がれるカット。下手なロックミックスに、クレイジーにわめき散らす若者たちの群像。バラバラ。
あの頃のモヤモヤ、頭の中の洞窟はいつもそんな感じのバイブスだった。
“シュガーハイ!”
“音楽を絶滅させるな!”

自由への道しるべ、音楽は死なない。


☆4.3

(2017/5/28)