散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ドクトル・ジバゴ

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例えば、すべてのロックンロールがラブソングであるように、すべての映画が愛についての物語であることを首肯するに足る3時間超の至福。
ロシアの酷寒の大地、時に美しく広がる草花を見渡すロングショットに。あるいは表現主義的とも言える町並や小道具に渡る美術に。そして心の機微をそれぞれの瞳にこそ語らせるクローズアップの、画面の隅々にまで溢れる抒情感。
大河ドラマを、出来事ではなく感情の起伏で繋ぐ映画的モンタージュの芳醇。
映画の魅力が濃縮された逸品。 

幾ばくかは愛を知り、故に、映画の美に共鳴することが出来るこの人生を悦びたい。


☆4.3

(2017/2/15)