散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

青いパパイヤの香り

琵琶の旋律に虫の声、鳥のさえずりが響き合う静謐で流麗な映像美に反し、戦闘機の轟音やよもや怪談のそれのような不穏で不可解な劇伴との不協和音は、対位法による重層的なテクスチャ、あるいは『ミツバチのささやき』をも想起する暗喩表現を思わずにはいられない。
無垢なる少女の秘めたるエロティシズムの萌芽。生々しく、湿っぽく、グロテスクな種子がやがては美しい花を咲かせるまで。


☆3.1