散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

アンジェリカの微笑み

光と音による魔術。映像と音楽のマリアージュ。陶酔と昏睡の狭間に、現実でも幻でもない“絶対空間”を漂う。台詞は説明を排し、言葉はユーモアな破調を奏でるのみ。愛の滑稽が幽玄の美に溶け合う刹那の連続をフレームに刻む。そして静かなる暗転、永遠に向かうロマンチック。救いとしての死の甘美に取り憑かれ、同調する精神と身体の悦び。

評点不可。これほど深遠な映像詩的快楽へ浸るのもいつぶり。遅まきながら、タルコフスキーアンゲロプロス以来の邂逅を果たす。


☆3.9