散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2022-09-03から1日間の記事一覧

13人の命

2018年、サッカーW杯ロシア大会の裏側で。ブラジルの準々決勝敗退、つまり我々としては“ロストフの悲劇”と共に記憶されるもう一つのドラマ。 事実は小説よりも奇なりのそれにしても、あまりに荒唐無稽な、むしろフィクションでは成り立たないほどの想像を絶…

アンジェリカの微笑み

光と音による魔術。映像と音楽のマリアージュ。陶酔と昏睡の狭間に、現実でも幻でもない“絶対空間”を漂う。台詞は説明を排し、言葉はユーモアな破調を奏でるのみ。愛の滑稽が幽玄の美に溶け合う刹那の連続をフレームに刻む。そして静かなる暗転、永遠に向か…

チェンジリング

哀切の旋律と、ノイジーな音響効果に醸成される恐怖は、まさに“恐怖映画”と呼ぶべき古典的叙情の豊かさに触れる逸品。怖い、という情動の内に怒りと哀しみの叫びを聞く。元来そうあるべきものよ。非業の死を扱う人間ドラマなのだから。あるいはそれも一つの…