散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

アリー/ スター誕生

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スタア誕生』を知らない身としては、往年のバックステージものそれよりも、必ずや破滅を迎えるがしかし美しい恋という悲劇の、例えば『ラ・ラ・ランド』の変奏として見た。聴き惚れた。そして打ち震えた。

人生でもう二度とない喜びと悲しみ、その全てを昇華すべく解放される歌のエモーション。ガガはもちろん、なによりブラッドリー・クーパーの哀愁を帯びた美声とのハーモニーが、まさしく“魂の底”より響き合う二人の如く愛の交歓を映しえる。

今、この瞬間に、過去も未来もない永遠を刻む音楽の奇跡(と呼ばずして何と)。その夢見心地によみがえる絶望の景色さえも甘美な。


☆4.0