散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ

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アンチハリウッド、反商業主義のメッセージを担保する“ゲリラシネマ”という名の映画革命。あるいは映画テロリズム原理主義者たちの狂った映画愛に発露するセックスや暴力への偏執は、その恐怖や痛み、過去のトラウマを背景とする怒りの“ヴィジョン”を映し出す。

それは現実の人間の現実の恐怖、そして普遍的で本来的な人間の欲求にも他ならない“悪夢”。人を食った露悪表現が時に良識ある市民を怒らせ、公序良俗を乱すだろう。だが、見たくもない現実を突きつけられるその暴力性、犯罪性こそが究極的な批評性を実現しうる。真に自由なアングラシーンからの強烈な気付け薬をなくして、映画という幻惑的な芸術の“健全性”は保たれない。低俗、悪趣味と貶されながら、自己検閲にまみれた大衆文化の虚像を脅かし続けるアウトロー・アートなのだ。

「くたばれ撮影所システム!」
「腐った映画に死を! 」
スクリーンを奪回せよ。
その特権性を解放せよ。

映画館から街へと繰り出し、映画の感動を超える“映画づくり”の熱狂を轟かせる──

"Demented Forever"
(映画に始まり、映画に終わる人生だ)

たかが映画、されど映画だ。


☆3.7