不思議の国の“デイブ”の迷宮はダンボール製。自分で作ったガラクタの山に身動きがとれなくなってしまった悲劇か喜劇か。
大人になりきれない男が作り上げた、複雑に入り組んだ自意識の袋小路。恋人も親友たちも、もう救い出すことはできず、むしろ彼らを呑み込んでしまうほどに拡張していく秘密基地の深部で、歪な恐怖と欲望のヴィジョンが繰り返し上映されている。映画みたいに。あるいは、あの映画とは反対に。青色の粒を口にして、変わらぬ朝をベッドで迎えるだろう──。
人生に真実とやらを見出そうとするばかりに、現実から遠ざかっていく男の虚無を果たして笑うことができただろうか。
☆3.0