大嫌い、大嫌い、大嫌い……
そういくら唱えたところで憎めっこない。罵り合った後は一人、秘密の部屋で涙をこぼす。
煩わしいほどに愛おしい、母と子の切っても切れない関係性。その宿命とも言うべき愛に煩い、眠れぬ夜がまたやってくる。
闇の深い夜と、黒に染まるスクリーンは塩梅よく混じり合う。降りしきる雨音は耳心地よく、鈍重な語り口には時より瞼を閉じて“回想”を浮かべる。
そうして短い映画が気付けば終わっている頃に、少しは気は紛れ、遮光カーテンの隙間から青白い光は差し込んでいる。
“怪物”は光を恐れる──。
五月雨があがる頃、きっと逢いたい人がいる。
☆3.2