散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界

f:id:eigaseikatsu:20190502025812p:plain

閉塞感とて美しく──。
迫る、核戦争。世界の終わりとあらば、持てるすべての麗句を並べて。

気まぐれな風に髪なびかせて。ロンドンの青白い空気に、赤毛の揺らめくエル・ファニングの等身大を煌めかせる。描画される光と画角の妙はポエティックに、既に過ぎ去った青春という名のうたかたの日々を回想するもの。

夢破れ、愛失われ、友去りゆく未来を、それでも生きていくことの価値を芸術の美に託すものだ。


☆3.8