散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ドローン・オブ・ウォー

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最前線にて双方の兵士に多数の犠牲が強いられるリスクの対称性を以てはじめて成立し得たはずの戦争も今や過去。
捨て駒によるテロリズムと返す無人機による空爆に、市民の暮らす生活の場が戦場となる。
憎悪は一層膨らみ、復讐の連鎖は終わりが見えない。

こちらが殺すのを止めたとして敵が止めると思うか。
信頼に値しない人類の歴史を鑑みれば、抑止、報復を飛び越えて、先制的自衛という名の大量殺戮の常態化が、国家並びに国民を守るリアリズムであることを否定できようか。

手元のコントローラー一つでモニターの先にあるはずの命が木っ端微塵に吹き飛ぶ。
人間は、非人間的な、そんな安全圏からの残酷な行為に耐え得るほど鈍感にはできていないはずだ。
しかし、戦争は終わらない。

戦争は自動化されていく。
憎しみにさえ愛が失われていく。


☆3.7

(2017/11/07)