散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

スター・トレック BEYOND

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期せずして、フィクションで扱われる人の命の重さであるが、悲しいかないつもとは全然変わってしまうタイミングというものが、時より訪れる。

“FOR ANTON”

愛すべき弟分、アントン・イェルチンとの早すぎる別れ。
今作の活躍を見れば、改めてその稀有な存在感に目を奪われる。あまりにも、あまりにも惜しい別れ。
とりわけ仲間について、友情について描くシリーズだからこそ、一層寂しさが募る。
「亡き友に」と、クルーが乾杯するシーンにおいて、カメラが中央に捉えるのはグラスを掲げるアントンの姿。そういう偶然の産物が、整理のつかない喪失感に一段落付ける手助けとなり得ることも。

歴史を重ねるほど、より物語に引力が増していくスペースオペラ。今作も多かれ少なかれ、その1ページに過ぎない。
片やオールドファンは、レナード・ニモイ扮するミスター・スポックに思いを馳せるのだろうから。

長きに渡る、未知なるフロンティアを目指す旅路には様々に別れが。そして出会いが。
聡明で、クールでキュートな魅力に溢れるジェイラ。彼女をファミリーに迎え、再びエンタープライズ号は飛び立つ。


☆3.7

(2017/6/06)