散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

獣は月夜に夢を見る

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その身体への戸惑いや恐れは、“少女が大人の女性へと変貌していく過程”のメタファーであると同時に、異質な存在を迫害する閉鎖的な共同体の反応を示している。
彼女にとっての謎は、彼らにとっての脅威となる。未知には何より恐怖が先行するからだ。

暴力や死に直面しながら、さも何も起こっていないかのように坦々と切り取られる荒涼とした風景、心情描写が、それが誰しもに訪れる成長過程の一つに過ぎないことを残酷に見せる。

そんな世界に出会う、異形なる者とその守護者なる者の美しいラブストーリー。
同じく北欧産ホラー『ぼくのエリ』にも類似し、数多ある怪物映画にも通じ得るプリクエルのような。


☆3.9

(2017/4/26)