目で語り、視線の交差がドラマを生むもの。それが佳い映画だった。
吐息が交わり、肌が触れ合う距離で紡ぐ会話劇。これも映画だった。
嘘か真か煙に巻くような話をしながら、身も心も近付け合えるのは赤の他人だったから。はじめましての彼女。
"Loving strangers"
でも、この夜も必ず明ける。日常から遠く離れたこの幻想も、短い夜の限り。
その慰めと名残りは、映画を観る行為に似ていた。
朝日が差し込み、再び現実がドアをたたくその時、胸に刺さった何かを確かめたい。
新しい自分を確かめたい。
一夜の情事。2時間の幻想。
☆4.1
(2016/04/07)