散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ルシアとSEX

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世には、句点を使わず一文で構成された実験的な読み物も存在するそうで、この映画の質感としても、まるでそのように句点なくそれぞれの情景がシームレスに連なり、ミステリアスな収束に向かって流れゆくもので、“このお話のいいところは終わりのないこと、穴に落ちると話の途中に戻るんだ、そこから話が始まる、自分の好きなように方向を決めていい、時間の許す限り…”であるからして、愛に漂い運命に引き寄せられる男女の悲劇も、本のページを行ったり来たりするように現在と過去の記憶をオーバーラップさせ、柔らかな太陽の光に包まれる美しい瞬間を最後のページに、幕を下ろすのである。


☆4.3

(2016/04/07)