散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2022-09-14から1日間の記事一覧

シルバー・グローブ/銀の惑星

未完のSF超大作にして、ズラウスキーの集大成を見る記念碑的な一作なのではないか。『ポゼッション』の再現を求めては挫折を繰り返した日々も報われるかのようだ。 過去の鑑賞作品に比してもとりわけ難解なストーリーは早々に放棄し、トライバルなビート、哲…

ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!

カウリスマキ的なこれぞフィンランド映画のオフビートに、デスボイス、早弾きのギターリフが乗る。長髪を振り乱す、黒T軍団のヘドバンギャー!! 全ての道は『アンヴィル!』に通ずのだろうか、不屈のメタル・アティチュードに敬服する。 ☆3.4

アングスト/不安

「恐怖を体験させる」という狂人の欲望とホラーのそれとが結びつく、当然の帰結。 ある男の殺人衝動から、まるで映画的でない冗長な死体処理までの一部始終にカメラは密着し、哀れな誇大妄想の垂れ流しに晒される。半強制的な一人称への移入に、ひたすら“不…

スピリッツ・オブ・ジ・エア

『ダークシティ』が夜の桃源郷ならば今作は昼のそれ。真っ青な空とオレンジの大地を割る地平線、ブロークンヒルの荒野に未だ嘗て見たことのないポストアポカリプスを構築する。唯一無二のヴィジョンをスクリーンに映し得る、その一点に映画の価値は大いに示…