散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ザ・マミー

ホラーにあらず。そんなものよりもっと恐ろしい、しかし目を背けてはならない残酷な世界の現実を映し出す。メキシコは麻薬戦争下、親を殺され、行き場を失ったストリートチルドレンの目を通して、暴力に支配された“壊れた王国”の絶望を知らせる。時より差し込むファンタジックな光も、やはり容赦のないリアリズムの闇が覆い尽くす。こんな世界で生き延びるべく逞しさの悲しさ、正しくなくともそのどうしようもなさに言葉を失う。


☆3.9