散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

バーバリアン

流行りのフェミニズムホラーを起点に、二転三転、先の展開がまるで読めない巧みな語り口。不吉な不協和音が神経を逆なで、気の休まることのない緊張感を持続する。不穏が恐怖へとそのおぞましい正体を露わにするとき、反面、ブラックな笑いに顔を引きつらせながら、古き良き70年代ホラー風味の鮮やかなラストカットに至る謎のカタルシスを味わう。事象と感情の不一致がまさしく映画的な、しかしそう多くはない稀有な映画体験をもたらす。

ドント・ブリーズ』に同じく、デトロイトのゴーストタウンより新鋭現る。


☆3.8