散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ザ・ウェーブ

酒もタバコもやらないし、違法薬物は許されない、その代替物として映画の過剰摂取をやめられない。夢うつつへのトリップ。本質的に幻覚的である、まばゆい閃光の明滅と音楽の快楽性が、おしなべて少なからずドラッグムービー的である虚構への一時避難を繰り返す。現実をねじ曲げ、ドラマチックなストーリーをなぞる妄想の類が大袈裟ではなく、人生に意味を与え、死の恐怖を和らげる。生に対し、あまりに優位な死への観念を治める劇薬につき、新たな依存症を併発もする。

(私的オールタイムベストの一本)『COMET コメット』のような色彩、時系列をシャッフルして物語る“美しい夜”の風景に、ジャスティン・ロング主演の既視感を覚える。天使か悪魔か、彼を救済に導く美女は誰かと思えば、『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』のシェイラ・ヴァンドではないか。


☆3.9