散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ミスター・ガラス

“秩序”ある社会の名の下に、日陰に追いやられる者たちが縋る「物語」への信仰。たとえ妄想と罵られようとも、虚構に見出す真実にこそ自らの存在理由を託す。

『スプリット』に次ぐまさかの続編に『アンブレイカブル』を復活させるシャマランユニバースは、まさに彼の作家性を明々白々とヴィランズムービーに表明する意欲作。私的偏愛映画『レディ・イン・ザ・ウォーター』 にも通底する危うい独善性が悪魔的であれ、決して邪悪ではない純粋性を貫く。

失意のどん底を照らす一縷の望みに、善も悪も、ヒーローもなにもない。シャマランお得意の、どんでん返しに次ぐさらなるクライマックスに仕組まれた解放と救済のメッセージに、やはり妄信的なシンパシーを覚えてならない。


☆3.9