散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

オープニング・ナイト

改めてカサヴェテスが撮るジーナ・ローランズの絶世の美しさ、そして貫禄。かと思えば少女のようなあどけなさをふと覗かせる。煙草とサングラスの似合う“悪女”の、いつも神経症的な役柄のイメージにそぐわないこんなにも愛らしい素顔が、バックステージものの幾重にも重なる虚構に滲み出す。演劇的な即興性の綻び、あるいは映画の豊かさとしての多層的な虚実皮膜。

夫婦共演、その丁々発止のあまりにも愛。


☆3.7