散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ロープ/戦場の生命線

たった一本のロープを探し求めて車を走らせるだけのことが、これほどのドラマになり得てしまう紛争地帯の現場。「これが戦争だ」と異口同音に迫られる現状追認をことごとく受け入れざるを得ない。複雑に絡み合った人間模様を大上段に構えた論理で解けるわけもなく、国連軍に象徴される第三者的な正義の矛盾や欺瞞をアイロニカルに浮かび上がらせる。

“国境なき水と衛生管理団”なる弱小組織の視座より語られる戦時下の日常。フィクションを乗り越えて訴えかける切迫感に、徒労感で満たされる。


☆4.1