散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

地獄の門

これでフルチの血まみれ3部作完走のはずが、よっぽどの映像体験に防衛本能が働いたのか、『サンゲリア』も『ビヨンド』も確かに見たという記憶以外、何も思い出せない恐ろしさ。無意識下に、“忘れようとしても思い出せない”ほどのトラウマ映画として刻まれているのだろうか。

今作もまた、よくもこれだけ人の心に傷を負わせられるものだと、感心するほど多彩なゴア描写のつるべ打ちだが、これがもはや美しくもあり。美醜に価値観の転倒を起こしかねないショック表現に、さすがはカルトホラーの実力を窺い知る。ついには血の涙のクライマックスにて、すっかり心酔し、謎に感動してしまっている自分に気付く。


☆3.3