散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

T2 トレインスポッティング

どんな未来を選ぼうとも世界はクソで、俺たちはクズに変わりない。ある種の諦念にシニカルを抱えて浸る現実逃避には、懐古じみた幻想が並ぶ。

“普通じゃない”人生を刹那的に、汚れまみれて生きる愚かさの美しさを教えてくれた不良なる映画への憧憬は、20年後、共感を覚えるまでの平凡に成り下がる。いつの間にこんなダセぇ大人になっちまったんだ、とはいえさほど驚きもしない当然の末路に、まるで自分の中年を見るかのような憂いとやせ我慢の笑みがこぼれる。

踊り続けるには長すぎる人生だった。今夜も震える手でお気に入りのレコードに針を落とすも、すでにそれはノスタルジアの彼方。


☆3.7