冒頭より、5分を超える長回しアクションを切断する数発の銃弾が、“エウロパ”を題する現代の寓話をにわかに浮上させる。
文字通り、空高く浮上する身体──。
まるで『トゥモロー・ワールド』のイミテーションは、シリア難民の少年の身に“奇跡”を宿す。
しばしの陶酔──。没入感と少しばかりの客観。無重力の不自由を足掻く主人公、あるいは街を、地を這う人々を見下ろす“神”の視点。そんな意識の混濁が、いつも半覚醒の夢に見る光景とそっくりそのまま重なるのだった。
幻想が“希望”とは。
ならば、眠ろう。
☆3.3