散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

フリー・ファイヤー

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どうしたってタランティーノの『レザボア・ドッグス』を彷彿とさせる。一体どれだけの銃弾が飛び交い、どれだけのうめき声と無駄口が叩かれたか。命のやり取りをブラックコメディに描く噴飯ものの、ましてや小粋な〈人を殺して捨てゼリフ〉までおまけについてくるような、前時代的な趣向をなぞりながら、90分のノンストップアクションを実現させる奇作。

全員手負い、ノロノロと這いつくばって全員ゾンビの泥試合は、一見、ごっこ遊びが過ぎる子供騙しのようにしか見えないが、バラードの原作を映像化した前作『ハイ・ライズ』を引き継ぐように、“縦”から“横”へ、俗悪なカオスの衝突は人間性の崩壊を象徴させている──のではないか、などとやたらに穿った目を光らせるも、そんな手練ではなかったようだ。


☆3.4