信用できない語り手がこの世界にまた一つ謎を創り出す。
謎、それ自体に人々は魅せられる生き物だ。
これはミステリー“映画”である。
疑うことよりも、読み込むことよりも、まずもって見ることにより真相への最短ルートは得られる。
細部に気を配って深層に迫るまでもなく、嘘は表層を注視することによって容易に見抜かれる。
一つの確かな手がかりさえ掴めれば、あとは点と点が結び合って、正しい線は自ずと浮かび上がっていくものだ。
一つの嘘を守るためには、膨大な嘘が必要になる。そのうちの、たった一つの矛盾で全ての嘘は破綻する。
☆3.3
(2018/05/19)