散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

柔らかい殻

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黄金の小麦畑と空の青のカンバスに、無垢は残酷と、愛は死とを渾然一体に描きこまれる美しき悪夢。
ざわめきを呼ぶオーケストラの調べが場面転換を牽引して、あるいはセンチメンタルな映像美に身は任せられる。
暖かな陽が差し、レースのカーテンは風に揺られ、儚く懐かしい香りがどこからか吹きこむ夕刻。

無知であることが罪ならば、罪を犯すことが生きていくことならば、私はこうやって幻想を眺めながら、この場所で刻一刻と年を取っていくことを選びたいと願う。

すべては愛からはじまり死に終わる世界の不条理に心は砕けて。
太陽は消え入る。


☆3.8

(2018/3/17)