散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ジャングル・ブック

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“本物”の人間の前を闊歩する“偽物”の象の群に畏怖の念を抱いた時、確信に至った。
技術革新による映像表現の発明の系譜に連なる、『アバター』以来のエポックメイキング。
ジュラシック・パーク』で初めてブラキオサウルスを目の当たりにした時の衝撃を思い出す。

ストーリーラインはまるで『ライオン・キング』、オオカミに育てられた人の子の話と言えば『もののけ姫』などと世代的には想起するが、それらも当然、100年以上前に原作は書かれ、50年前には古典映画化したこの『ジャングル・ブック』をオリジンとする。

その何度目かのリメイクであるが、実写でもアニメーションでもない虚構性の創造によって新たなオリジナリティが吹き込まれた傑作となった。

必然に支配される“リアリティ”の追及は混沌を映し出す“リアル”とは決定的に志向が違うので、実写の代用としてのCG技術の多用には懐疑的な見方をしていたが、今作の映像体験には確かな手触りがあった。
人知にコントロールされた虚構の世界で、風を感じたんだ。


☆3.9

(2017/08/13)