散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

カビリアの夜

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あなたには、あの頃出会っておきたかった。こんな人生のはずじゃなかった。
そう嘆いて運命を呪うのではなく、しっかりと自分の足で立ち、未来を掴もうとする清らかな魂。それでも神に救われない魂を、見つめ続けるレアリズモ。

純粋に、ひたむきに生きる娼婦カビリアには、フェリーニの生涯の伴侶であり、ミューズであり続けたジュリエッタ・マシーナカビリアの本当の名は、マリア。
フェリーニの見つめる“人間”主義と、聖母の“物語”を背負い得る女優の存在なしには到達し得ないアンハッピーエンド。

ボナセーラ。


☆4.1

(2016/05/014)