得体の知れない外敵から身を潜め、我が子を守り抜く父と母の戦い。
孤立無援。あまりに非力で無防備な、家族という最小単位の共同体で所詮は生き抜くことを強いられるこの世のリアリズムが重なって見える。
世に蔓延る理不尽、あるいは暴力に対抗するべくもなく襲われる弱き者たちの恐怖、孤独、そして絶望。それでも未来に希望を宿すことをやめない人間の営み。
実夫婦でもあり、父と母でもあるジョン・クラシンスキーとエミリー・ブラントに体現されるはまごうことなき愛のドラマ。言葉にせずとも、声にならずとも、それは映画的な言語によって十二分に語られる想い。人の親であることの恐怖と覚悟が。
実に鮮やかなラストカットまで、途切れることのない緊張感が論より証拠。ホラーというジャンル的な娯楽作において真に迫る、生き抜くことの綱渡り。
☆4.0