さしたる苦労もなく、なに不自由なく生きてこられたがゆえの、普通で平凡な人生へのコンプレックス。
何でもあるというのは何もないことにも等しい、何をやっても実感に乏しい。物資的な豊かさと引き換えに、もはや現代病とも言うべき心に闇を抱えた若者たちの拗れた承認欲求をさらに、手軽に肥大化させるSNSの虚像。
すべてが情報として消費され、人の命さえ、テロや戦争の悲劇さえも一種のエンターテインメントとして並列されることの異常を異常と認識する間もなく、流行に乗り遅れまいと“共有”の意思を迫られる世界の薄ら寒さをおぼえる。
☆3.8