散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

わたしは生きていける

ある世界の片隅に、少女たちの奪われし青春を第三次世界大戦勃発の近未来像に描く。風光明媚なイギリスの片田舎に死の灰が降りそそぐ。みずみずしいラブストーリーが惨たらしい戦禍で染まる。改めて、反戦への思いは市井の小さな物語にこそ雄弁であることを感じさせる。というのも「核攻撃」というワードが喫緊にもつリアリティである。10年前の公開時ならばヤングアダルト向け、ある種のセカイ系と距離をとって読み解くこともできたのだろうが、そうもいかない不確かな現実が横たわる、今まさに、彼らの生きねばならない世界の、あるいは心象風景に深い同情を寄せるものである。


☆3.8