散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

夜の第三部分

当時のポーランド、“混沌”の政治状況を下敷きにしてようやく暗喩に満ちたストーリーを理解できるのかもしれないし、そうでもないのかもしれないが、ともかくもズラウスキー映画の異様なハイテンションをいなし、観念的な台詞の洪水に揺蕩うすべを『シルバー・グローブ』の一山を越えてついに身につけたような感覚がある。衒学的に、あるいは叙述トリックによりあえて観客を混乱に貶めるような類の難解さではなく、むしろ真実のみに正対し、つまり愛とその対極に残酷を曝け出す美の倒錯にまどろむ。

あるいは、すでに『ポゼッション』を暗示するいくつかのモチーフをたどる。


☆3.3