散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

テリー・ギリアムのドン・キホーテ

悲願達成の祝祭感よりも、映画製作の罪と呪いが色濃く重なるメタフィクションに、苦節30年をたどる構想の変遷が見受けられる。「テリー・ギリアムドン・キホーテ」と題されるのもやむなしの自己投影を、ギリアムも認めざるを得ないだろう。いっその事、自ら演じてしまえばよかったのにとさえ思う。稀代の怪優アダム・ドライバーとの共演ならば、晩年を飾るその集大成にも相応しい。なんてことを『未来世紀ブラジル』に対をなすエンディング、見果てぬ“夢”へのロマンティックに空想せずにはいられない。


☆3.6