散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ANNA/アナ

リュック・ベッソンの描く“闘うヒロイン”をフェミニズムの延長線上に称えるか、性消費的なドール趣味の亜種だと戒めとすべきかは非常に微妙なところであるが、個人的には後者の立場を取らざるを得ない。その上で、そうしたフェティッシュの発露も表現の内には大いに認められるべきものだと、一ファンとしては願うものである。

ともかくも、『ヴァレリアン』の失望より復活のベッソン。ほぼ『ニキータ』のセルフリメイクにして90年代スパイアクションの香りを残しながらも、(男の)ロマン一辺倒には陥らないアイロニックな手触りには、オヤジなりの時代に即した成長の跡がうかがえるではないか。


☆3.8