散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

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ほぼ旅客機のコックピット内に貫徹するワンシチュエーションもの。脚本、演出ともに背景を削ぎ落としたリアルタイムの臨場感は、扉を隔てて一人、迫真の演技を続けるジョセフ・ゴードン=レヴィットと同調するように心拍数を乱高下させる。またテロリストという匿名ではなく、一人ひとり名前のあるハイジャック犯への複雑で真っ当な眼差しにも、心理的葛藤は揺れる。決して、記号化して消費されるだけの娯楽ではない人間ドラマを孕む。されど、秀逸なジャンル映画の手頃なおもしろさ。


☆3.7