2022-08-07 フレンジー 映画ポエム 見せずとも演出されるこの悍ましさ、見えずとも正視に耐えないサスペンスが繰り広げられる。ややもすれば笑いさえ誘う軽妙な語り口に、すっと時間が止まるようにして挿し込まれる凶行の静けさは、猟奇殺人犯の二面性と重なり合い一層の恐怖を掻き立てる。 映画的な快楽が倒錯的な欲望を露わにし、あまつさえ生理的反応を呼び起こしかねないヒッチコックの映画術。表現というものの危うさを嫌に実感させられる。 ☆3.3