「パラドックス・シアター」
まるで『トワイライト・ゾーン』を模したイントロダクションに語られるミステリーは、ずばり『未知との遭遇』の変奏。
テレビドラマ的な演出を随所に、しかし純然たる映画的快感に溢れるカメラワーク、さらに巧みなダイアローグの積み重ねはラジオドラマ風。月夜の闇に目を凝らし、混信する音の波に耳を澄ます。その語り口の一つ一つはいつかどこかで見たようなサンプリング的な構図でもありながら、組み合わせの妙は50年代にセットされた田舎町の風景と相まって、新鮮かつオールドスクールな手触り。
そんな怪奇SFの、しかも悲劇的ともとれる物語にあって、爽やかな余韻を残す結末。ここではないどこかを夢見る少女にとっての青春映画に結ばれるのであった。
☆3.4