『ダンケルク』とあわせて見たい世界史。映画史によって多層的に捉え直す史実に、故きを温ね新しきを知ろうとする文化の豊かさに触れる。
“暗黒”の夜明け前、常に光が差し込む光と陰のコントラストは美しい。画面は美しく、勇ましいチャーチルの名演説は見る者の心を動かす。
だが、無私の境地で国民に仕える偉大な政治家の言葉が、玉砕覚悟のヒロイックな挙国一致の精神に支えられたものだったという帰結ならば──“世界を救った”英断を称揚するにしても──その角度からは、英国流の知恵とユーモアも霞んで見える。
☆3.1