散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

グリーンルーム

f:id:eigaseikatsu:20190221190949p:plain

割られた蛍光灯の粉塵は白く舞い、ナイフに滴る血は黒く。鮮やかに光るネオンピンクには“EXIT”の文字。

グリーンをベースカラーにどんな差し色もスタイリッシュに映える。同時にどこか気の休まらない不穏を感じさせる色調。
この感じは好きな感じ。あの大好きな映画も想起する。サソリを背負った男のハードボイルド。柔らかなオレンジの照明が明滅するエレベーターで、ロマンスとバイオレンスが刹那に交錯するあの。
今作でも出色は、真っ暗闇に灯るライターの火のオレンジだろうか。

しかしながらここ“グリーンルーム”に、甘い口づけを交わすロマンティックの余地などなく。
ただリアリスティックに、容赦無く、人体は破損し次々に絶命していくグロテスク。
壁にはでかでかと南軍旗の掛かったネオナチの巣窟で、生きるか死ぬかの“ペイントボール”は執行される。


☆3.2

(2018/07/01)