散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

劇場版TRIGUN(トライガン) -Badlands Rumble-

奪い奪われの残酷でシンプルなこの世の中で、生きることに意味を求め、しちめんどうな御託を並べ立て逡巡する男の子の永遠にも続く苦しみ。過去に十字架を背負い、未来に絶望を募らせる煉獄で、ただひとり母の残した願いにすがり彷徨う。人間愛とは。いつか生への全肯定へと続く、人生のブランクページを埋める旅路。

コメディとアフォリズム。ハードボイルドの季節。弾丸に込めた、ラブ&ピース──。98年のアニメシリーズより、“かえってきた”ヴァッシュ・ザ・スタンピード。トライガン劇場版。


☆3.3

MORTAL モータル

あの『ジェーン・ドウの解剖』のアンドレ・ウーヴレダル監督作。
北欧はノルウェーの地に物語る、雷神“ソー”のオリジン。クローズアップに怒りと悲しみの暴走を捉えれば、切ない愛の逃避行にアンチヒーロー爆誕を目撃する。なんとも鮮やかな幕切れにシビれる。


☆3.0

 

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結

『スーパー!』を思い起こすポップグロテスク。見下げられたポンコツ軍団の特攻大作戦がガンの露悪趣味と相性抜群であることは言わずもがな、ハーレイ・クイン気狂いピエロとしての魅力を最大限に発揮させる手腕も見事。
ヒーローを再定義することに腐心してきたDCEUに、元来アンチの立場から正義の顛倒を起こす明快なカタルシス。虚実重なるガンの境遇を含め、シリーズの仕切り直しを託されるのも納得の、まさかの超快作。


☆4.2

 

ロード・オブ・カオス

『SPUN スパン』のヨナス・アカーランド監督作。
悪魔的な轟音に差し込まれるサブリミナル的パラノイド。自殺に他殺、生と死のグロテスクを煽る。セックス描写はまだしも殺傷シーンにモザイクがかかるなんてものはそう多くない。
痛々しくも青い、青春期の真実性に胸を抉られながら、メタル弱者としては、ブラックメタルという名の虚構性そのものへの誤解、あるいは不信へと繋がる問題作でもあった。


☆3.7