散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

RUN/ラン

RUNを「走れ」ではなく「逃げろ」と翻訳すべく時代のジャンル映画。近年のフェミニズムホラーにも通底する抑圧的な世界観──強権的な支配からの“自立”を勝ち取るべく戦いはなにも、有害な男性性からの解放を謳う女性の物語ばかりではない。その不等な搾取構造は、最も誠実な愛で結ばれるはずの親子関係にさえ及ぶという万人にひらかれた恐怖、ゆえのカタルシスをもたらす90分のノンストップスリラー。

相手の幸せを思う愛とは似て非なる、自己愛の暴走。


☆3.8