散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

68キル

強かなる女の秘密、嘘、涙、あるいは誘惑への服従さえも、男の愛であって然るべき狂気の沙汰を嗤う。自虐。歪んだ女性崇拝にマゾヒズムを充足させるポルノ的な愉悦に浸る。グロテスクかつエロティックな、巻き込まれ型スリラーに弄ばれては昇天必至……のはずが、惜しむらくはクライマックスの尻つぼみ。夜が明ければ我に帰る、夢も悪夢からも覚める。所詮、一夜の過ち、良き経験で済まされてしまう安易な成長譚への妥結。そして流れる「This Is Love」の空虚なロックにお茶を濁す


☆3.4