ハモンドの夢──スピルバーグからの贈り物を受け取って育った僕たちのノスタルジーが焼き払われる問題作。
ブラキオサウルスの巨体を眼前にしようとも、T-REXの咆哮が鼓膜を揺らそうとも、それだけで感動を得られることができたのも今は昔。
恐竜の再誕にロマンを語る時代はとうに過ぎていたことを気付かされる。
畏怖すべき存在から心を通わせる存在へと。または怪物と大差なく、寓意を込められる存在にまで成り下がった恐竜たちならば、愚かしき人間たちと同じ“世界”へ降り立つのも避けられない時の定めなのだろう。
神にも成り代わったつもりの人類は“奇跡”とて当然のように、躊躇うことなく利用するに違いない。飽くなき強欲は破局を迎えるその時までとどまることを知らないだろう。
「ようこそジュラシック・ワールドへ」
一つの時代に終点を打つ──同じ手でなぞられるオマージュの数々に、惜別の、童心の涙が浮かぶ。
☆4.2