散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ラヂオの時間

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妥協に妥協を重ね、理想とは程遠い現実を繰り返しながら、それでもいつかの小さな奇跡を信じて日々、懸命にもがき生きる人間たちの可笑しみ。馬鹿馬鹿しいほどに愛おしく、そして尊い、全くもって無駄なその営み──人生は悲しい喜劇なり。

ショウ・マスト・ゴー・オン。


☆3.8

デス・ウィッシュ

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途方もない悲しみ、喪失を埋め合わせる怒り。独善的な正義への妄執、行き過ぎたヴィジランティズムへの自己陶酔。それは絶望を救済しうる暴力、復讐という名のカタルシス

神に見捨てられるならば“死神”にも成りかわる者の甘美なる悪夢。映画(殊にジャンルムービー)が常にポリティカルであるべきはずもなかろう。


☆3.2

 

メイズ・ランナー:最期の迷宮

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マッドマックス×ワイルドスピードMEGA MAX)なアバンタイトルをピークに、もはやメイズでもランでもない凡なるアクションが如何にもYA映画といった既視感の中で繰り返されるトリロジー最終章。

少なからず驚かされるのは、その思想的帰結である。若さゆえのヒロイズムが世界を救うことはなく、ただ一人の友を守るべく内向きに作用し続ける精神性。または恋という名の未知よりも、既知の存在との安住を願う若者たち。愚かな愛を捨て、“友情”、“家族”の温もりの中にハッピーエンドを謳う、そんなある種のコンサバティズムに共鳴する彼ら新世代との断絶を憂えずにはいられない。


☆2.9