「美しいもののために生きましょうよ、少しくらい貧しくても」
“ほぼ実話”のアメリカ史をなぞる衝撃の陰謀劇よりも、愛と芸術に生きる一人の女性の、そんな平凡な人生訓こそ胸に響く。
あの『はなればなれに』を彷彿とするステップの多幸感。黒髪のマーゴット・ロビーに一瞬、アンナ・カリーナを見た気がした。シャロン・テート役の名演に続き、彼女に抱かせるレトロスペクティブ、自由と愛に爛漫としたエネルギーの光源が、名匠ルベツキのカメラに惜しみなく広がる。
紆余曲折を経て、デヴィッド・O・ラッセル久しぶりの新作にオールスターキャストを揃えるも、偏愛する『ハッカビーズ』以来の“鬼才”ぶりを発揮しては万人受けするはずもなく大コケ。でも嫌いになれない。
☆3.7