散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

エレニの帰郷

我が心のミューズ、イレーヌ・ジャコブを見つめる先に突として、白い雪景色に広がる映像詩、壮麗な時間の流れに身を委ねる安らぎの感覚が甦る。『トリコロール/赤の愛』にそんな映画を見る根源的な喜びを知って以来、探し求めていたはずの、そしていつしか忘れかけてしまっていた心の機微を再び刺激する──過去と現在、現実と虚構が入り混じる“記憶の旅”に、終わりなき夢を重ねる悲哀のカタルシス

アンゲロプロスの遺作。


☆4.1